Interviewこのまちでママの居場所づくりを。未来のママたちのためにも

茅ヶ崎市東海岸在住 髙村 えり子(たかむら・えりこ)さん

知人のいなかったこのまちで子育てを始めて感じた苦しさ。自分一人で耐えてやりすごくことなく、ママの居場所づくりに取り組んだママがいます。このまちには、子育てママの心と体のケアができる場所、そして子連れで安心して出かけられる場所があります。

茅ヶ崎市東海岸在住 髙村 えり子(たかむら・えりこ)さん

岩手県出身。沖縄在住時代、横浜に暮らす夫と遠距離別居婚。2014年から茅ヶ崎で共に暮らし始めて5年目。子育てママの体ケアルームおきなわ屋ぁ代表、ママの居場所をつくる団体「ママほぐ」代表、夫・啓介さん(写真)と3歳の長女、1歳の長男と4人暮らし。

沖縄から移り住んでも違和感のない、スローライフの空気感

沖縄に住んでいたえり子さんが横浜に住む啓介さんと遠距離婚をし、啓介さんが茅ヶ崎を選び、ともに暮らすようになって5年になる。えり子さんが持つ茅ヶ崎のイメージは。

「スローライフのイメージですね。沖縄と比べても、何の違和感もなくこのまちに暮らしています。出身の岩手も、学生時代に住んでいた静岡県の清水も近くに海があって、のんびりした感じが似ています。当初は遠距離婚だったので、夫が家を“神奈川”で探してくれると聞いて、その響きに身構えましたが(笑)、茅ヶ崎は空気感や人の感じが開けていて、しっくりきます

なんでも“雄三通り”で済んじゃう(笑)

夫の啓介さんは週末も仕事をすることがあり、家族でレジャーに行く機会がなかなかとれない髙村家。おでかけはもっぱら母子3人で “雄三通り”を歩く。
「3歳と1歳の子どもを連れて、雄三通りのパン屋さんでご飯を食べて、雄三通りのカフェでお茶して、雄三通りで買い物をし、雄三通りの花屋さんに行き…。ネットスーパーもよく使いますが、足りないものはすべて雄三通りで済んじゃいます(笑)。

自らの子育てから気づいた、わたしができること。2つの“ママの居場所づくり”

このまちに移り住み、第一子を生んだ3年前。知人もなく孤独を感じながら子育てをしていた経験がある。特に産後4か月ぐらいまで、産後うつのようだったと振り返る。なんのコミュニティも持たないママの育児のつらさを実感し、“こういう思いをするお母さんがいてはいけない”と、自身も乳児を抱えながら、2つの「ママの居場所づくり」を始めた。

一つは産後のお母さんの心と体のケアをするサロン「おきなわ屋ぁ」。以前からサロンを開いていたが、必要性を感じて子連れ専用にターゲットを変えた。保育士が赤ちゃんをみている間、ママは安心して体のケアを受けられるようにしている。他にも、講師を招いて“だっことおんぶの講座”をしたり、カウンセラーを呼んで、帝王切開ママのお話会を設けたり、あるいはファイナンシャルプランナーさんと組み、子育て中のお金の話を聞ける時間をつくったりと、多岐に渡るサポート活動を行っている。

そしてもう一つは、ママたちが安心して出かけられる居場所づくり行っている団体「ママほぐ」の代表として活動している。

“ママほぐ”のイベントの様子

「わたし自身が子育てをしていて、ママ友の存在に救われます。一人で育児をするママのために、横のつながりが持てる場所を作りたかった。また、ママたちは赤ちゃんが泣いたらお店を出なくちゃいけない、安心して買い物ができない。まちに出られないんです。そこで、赤ちゃんが泣いてもなにをしてもいい、まちの中にいていいんだよという居場所づくりをしたかった。それが“ママほぐ”です。」

“ママほぐ”では月に1回、小さいマルシェを開いている。リラクゼーションを受けられたり、7つほどのものづくりのブースでは、せっけんづくりなどのワークショップに参加できる。0歳~1歳児のママが多いので、助産師の無料相談なども実施。保育士もいて、参加中に子どもをみていてくれる。
「ママと子どもはいつもべったり。ワークショップ中、子どもを保育士さんに預けて、少し距離をおく時間があると、ママの気持ちが落ち着きます」

“ママほぐ”のイベントの様子

パパもラクをしてるわけじゃない。でもママの育児は孤独。

サロンもママほぐも、始めて3年になる。“スゴイね”“わたしはあなたみたいにできない”、時には“近寄りがたい”と声をかけられ、戸惑うことも。
「わたしはただのお母さんでしかないんですけどね。でも、仕事にのめりこむタイプ。実は活動をはじめて1~2年は、主人と子どもを隅に置いてしまっていました。家事や育児は、家事代行やベビーシッターでもできることだから、わたしにしかできないことをしようと考えて活動していたんです。でも、せっかく外にみんなの居場所をつくったのに、私自身が家のことをできていなかった。人にスゴイと言われて、私はなにをやっているんだろうと気づきました。母親目線を持っていないとできないことをやっているのに、そこを差し置いてしまった」

夫の啓介さんも「子どもが生まれてもっと頑張らないと!」と必死になっていたこともあり、夫婦で会話する時間もなく、心が折れそうなときもあったという。
「お父さんは育児をしていないかもしれないけど、ラクをしているわけじゃない。でも核家族が多い今、お母さんだけでは子育てはできない。“ママほぐ”に来ているママたちは1~3年で卒業していきます。就職したり、居場所が必要なくなったり。でもそれからも、小1の壁、小4の壁など、ママたちが悩む時期はあるので、続けて寄り添っていきたいと考えています」

茅ヶ崎市東海岸在住 髙村 えり子(たかむら・えりこ)さんご家族

雄三通りを歩いているおじいちゃん、おばあちゃんやお店の人は、子どもを無条件に「かわいい」と言ってくれる。「孤独な育児に疲れているとき、まちの人の言葉で心にふと余裕ができて、子どものかわいさに気づける」と言う。報道で虐待のニュースなどを知ると、自分はまちの人の声や小さな支えがあって、子どもに手を出さずに済んでいると感じることも。
「そんな経験から、多世代をまきこんだコミュニティづくりをしていかなくちゃという危機感があります。」

“日常の登場人物を増やそう週間”、実施中。そして未来のために

茅ヶ崎の良さはひとの良さ。“おはよう”と言えば自然に返してくれる。“助けて”と言えば助けている人がいっぱいいる
「今、わたしは“日常の登場人物を増やそう週間”やってます(笑)。核家族で家の中に人がいないなら、外に知り合いを増やそう、と。今こそ近所のつながりが欲しい。保育園に行くときに、よく出会う人に“パンのおじちゃん”、“道路のおじちゃん”と呼んで子どもと話題にさせてもらっています。こちらから挨拶をしたり、道路のおじちゃんが“おう!”と声をかけてくれることも。言葉を交わすと、ほっとして、気持ちが助かります。」

多世代交流の取り組みの第一歩として、“みそ汁コミュニティをつくろうの会”をキーワードに始動開始。ワークショップでどんなサービスをしてほしいか聞きこんでいる。子育て世代だけではなく、おじいちゃんおばあちゃん、会社員などさまざまな立場の人がつながるきっかけづくりをしたい。

「何のコミュニティもないところで子どもを育てるのは難しい。子どもたちの世代がこのまちで幸せに子育てができる仕組みを、自分たちでつくりたいと思っています。」

Information:
湘南・茅ヶ崎 子育てママの体ケアルーム おきなわ屋ぁ
https://erisangomamire.wixsite.com/okinawayaa
ママほぐーリラクゼーションとモノづくりー
https://erisangomamire.wixsite.com/mamahogu